大腸ポリープについて

大腸がんの増加

最近、大腸がんの増加がいわれ、血便が出たといって深刻な顔をして受診される方が相次いでおります。実際診察しますと、90%くらいの人が切れ痔やいぼ痔によるものです。

大腸ポリープ=大腸がん?

肛門からの出血は、真っ赤な新鮮なものです。しかし薄い赤みや赤黒い血の混じった便、また潜血反応でしかわからないものにポリープや大腸がん、また消化管内の炎症反応を表すことがあります。殊に最近大腸ポリープというと、イコール癌と思う人が多くみられるので困ります。たしかにポリープの中に癌化するものもありますが、全てが癌化するものではありません。

ポリープの中の癌細胞

実際、私のところで調べた、内視鏡切除したポリープ500例中で、顕微鏡的に癌細胞を見いだしたものは約13%、しかもそのポリープはほとんど直径1cmを越しているものでした。そして5mm以下のものでは全く癌細胞は見いだせませんでした。

大きさが悪性度を示す

近年の内視鏡は大きく拡大してポリープを観察でき、染色してその表面模様を見ることができ、そこから癌の肉眼判定をしようと試みます。しかしやはり、大きさがその悪性度を示すようです。ただし2cmを越したものに、癌細胞が発見できないものもみられました。

腺腫性と判断したら切除

また5~6年経っても大きさの変わらないものも、よく見られます。従ってどのポリープが将来癌化するか、現状ではわからないといってよく、そこで内視鏡下で染色の上、腺腫性と判断したものは切除したほうが良いというわけです。

大腸内視鏡

また2~3mm以上のポリープは、上手に撮るとレントゲンでも発見できます。大腸内視鏡は1本の棒ですが、それを曲がりくねった大腸へ挿入していくわけですから、腸を引っぱり、多少の痛みも伴います。この私も、大変な痛みを覚悟してやってもらっていますが、最近は鎮痛剤を先に処置して行う傾向にありますので、全く痛みを訴えることのない人も多くあるようになりました。

一度検査を・・・

ポリープくらいの大きさでは、自覚症状が出るはずはありませんので、癌年齢に達したと思われる人、家系的に癌が多いと不安を覚える人は、一度検査を受けることを勧めるわけです。

(「ミニコミかこがわ」掲載)

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