胃十二指腸潰瘍ってピロリ菌のせい?

潰瘍はなかなか治らない

潰瘍持ちっていやですね。いつも忘れていた頃に、思い出させるように胃が痛くて夜中に目が覚める、そして何か少し食べるとおさまる。そんな日がえんえんと続きますね。

抗潰瘍薬の効き目は?

でも最近の抗潰瘍薬は大変よく効きます。痛みだけは、薬を1週間も飲めば消えていきますでしょう?でも胃カメラを呑んでみると、潰瘍はそんなに簡単に治っていませんね。3~4カ月も薬を飲んで、やっと胃カメラでも治ったと思っていたら、1年前後でまた痛み出した。「あの医者、わしの潰瘍、よう治しゃせん。今度医者を変えたろう」と思ったことはありませんか。

潰瘍と胃酸

潰瘍には胃酸の影響が強く関係すると聞いたことがありませんか?でも胃酸が強くなくても、しょっちゅう潰瘍にかかる?そうなんです。これは胃壁の粘膜の防御側に問題があるのです。

胃粘膜の防御メカニズムを壊す原因

最近の研究で、この胃粘膜の防御メカニズムを壊す原因にピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の存在があるといわれています。ただこのピロリ菌は、潰瘍の慢性化の原因のみならず、胃癌を生じやすい慢性萎縮性胃炎や一つの胃悪性リンパ腫の原因となることがわかってきました。

潰瘍とピロリ菌

ピロリ菌とは

二十数年前、神戸出身の日本人妻をもつオーストラリアのある研究者によって同定されました。この口から入った菌が、胃の粘膜に取りついて、強烈なアンモニアを発生させ、胃粘膜の大事な機能、とくに胃酸を防ぐ機能をいつも壊している。

なぜ潰瘍はくり返すのか

過去に潰瘍を深く作った人のその場所は、潰瘍の傷跡が残り、正常な粘膜構造をもたなくなりましたから、少しでも胃酸が強くなると、また粘膜が溶かされ潰瘍になってしまうという、この繰り返しが起こっていると考えられているのです。

潰瘍の再発

だから胃酸を強く出す、気温の変わる季節の変わりめの体が受ける微妙なストレスや、精神的ストレス、過ぎた喫煙などは、潰瘍再発の第一原因ではありますが、もとからピロリ菌が胃粘膜に住みついていれば、そのときには簡単に潰瘍が再発してくるという訳です。

ピロリ菌除菌の効果

従ってピロリ菌をいなくしてしまえば、潰瘍再発は劇的に防がれるだろうといわれ、欧米では中心的な治療法となっていると聞いています。しかしその治療法は、PPIと抗生物質を中心に、それを常用量の2倍を七日から十日確実に服用する必要があります。もちろん薬服用の前後には、ピロリ菌存在の効果判定の検査が必須条件となってきます。

ピロリ菌除去療法

実際このピロリ菌除菌療法は私を含め、多くの患者さんで経験していますが、この治療法への理解と同意が絶対条件であり、中途半端になさるなら、耐性菌をつくることにもなりかねないので、実施に対しては慎重になさるべきでしょう。

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