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堀胃腸外科 兵庫県加古川市周辺地図

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大腸ポリープ

【No.1】大腸Polypについて

近年、日本では大腸癌の発症が急速に増えています。その勢いはやがて数年以内に胃癌発症例数を追い抜くところまで迫っています。
大腸癌の発育過程には4ルートが考えられていますが、そのうちの一つで有力なのが大腸ポリープから癌へ移行する過程をふむという説です。実際ポリープを見逃したままにしていくと、5~6年後には立派なポリープから腺腫内癌に成長していることの経験は、わたくし自身まだ駆け出しのころ見ています。以前は5mm以下のものは放置してよしとされた時代もありましたが、最近はたいがい見つけ次第クリーニングとして除去します。
家族的に多くもつ例もあり、一つできれば次数年後に見つかることもおおくの例で経験します。
そのポリープの形は、ちょうど榎茸のような茎をもったものが一般的ですが、茎のないポッコリ盛り上がったものも多くみられそれらを含めポリープと呼称します。
間違っていけないのは粘膜が少し盛り上がったものは粘膜隆起と呼称し、単なる炎症性に基づくものが多く、勿論小さな初期の腫瘍性の性格を帯びるものもありましょう。反対に凹む状態を陥凹と呼称、その隆起と陥凹が混ざり合った病変を見つけると、これは少々曲者のにおいがしてきます。

当院では開業当初から積極的に大腸内視鏡を通じ、そこから年間20%前後にポリープを見出し切除してきました。当初は切除機械が国産の手術に利用する電気止血焼却機を利用して処理する時代でした。時には術後出血する症例が数少なくあり、苦労した時代です。大病院では開腹手術をして止血したという話を時に聞きました。今にして思えば2-3日安静にしておればほとんど止血することが多いし、止血クリップがあっても不十分な性能しか持っていない中での処理でした。
当院では早くからドイツ製のErbeという高周波切除機を購入、今は2代目ですが、最近は国産機も進歩し、殆どどこの病院でも問題を起こす話は聞き及びません。また止血クリップも進歩し、ポリープの根部へ注入してポリープを持ち上げる液も優れたものができてきました。ただ健康保険が止血クリップの使用をゆるしません。しかし私は患者様の了解を得、安全のためこれを使用します。

さて当院では便潜血反応が陽性を示してくる患者様は、積極的に大腸内視鏡を行い、ポリープを見つけ次第その場で切除処理を行います。ただし最近は血液をサラサラにする血が固まらない薬を服んでいる方が多く、術前に注意を払っています。また大きい15~20mm口径以上の場合は、安全上関連病院へ紹介切除してもらいます。
ポリープのできやすい場所は、肛門に近い直腸、S字状結腸で約50%以上に見られます。あと盲腸や上行結腸で20%近く、他は上下行結腸と横行結腸のねじ曲がり切ったところ、大体がよくくねった場所にできるようで、大便が溜まりやすいところということでしょうか。大腸癌の場所と一致しています。年齢は30歳ごろから80歳にわたりますが、平均60歳代がピークで、圧倒的に男性に多く見られます。これの当院でのデータから述べていますが、ほぼ全国的にも同じです。当院のデータはこの文章の最後に載せています。
また、その切除されたポリープからここ最近毎年20%前後に癌が見られます。
そしてその中に一見普通に見える切除ポリープから、顕微鏡的に癌細胞が発見されることが増えてきました。これを腺腫内癌と言って早期中の早期がんです。大きさが5-6mmに小さなものからも腺腫内癌が見られ、10mm以上のものになると半数近くに癌細胞をふくんでいます。それぐらいになると内視鏡的な表面構造から明らかに癌といえる状態に変化しているものもあります。
当院では内視鏡は上部(食道、胃、十二指腸)下部(大腸)とも、NBI拡大内視鏡(Olympus)という毛細血管さえ見える特殊な拡大観察鏡を使って早期がんを発見する努力を払っています。
以下当院でのデータを示します。

当院5年間大腸内視鏡検査からポリープ発見数のデータです。

西暦 症例数 / 病変数 癌症例数 男対女 年齢 平均歳
2017 51例 / 82病変 12例(23%) 46 / 5 41~86 63.9
2016 33例 / 52病変 5例(15%) 29 / 4 40~80 67.7
2015 53例 / 103病変 9例(16%) 45 / 8 38~79 65.4
2016 33例 / 52病変 5例(15%) 29 / 4 40~80 67.7
2014 48例 / 74病変 12例(25%) 37 / 11 36~81 61.5
2013 47例 / 69病変 3例(6.3%) 41 / 6 39~76 60.4
               

上のデータから、大腸ポリープの発症病変位置(偏在位置)を下記に示しています。30年前には直腸部にもっと多く視られたのですが、近年S結腸部が圧倒的に増えているようです。

直腸(Ra, Rb,Rab) = 18.6%
S字状結腸部(RS,S,SD) =  36.1%
下行結腸部(D, Fl.spl.) = 13.1%
横行結腸部 (Tr, Fl.hep.) = 13.9%
上行結腸―盲腸 = 18.3%

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