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大腸癌について

【No.2】大腸癌について

最近、新聞マスコミの健康欄に大腸癌の記事が増えてきました。
当院でもここ10年胃癌の発見とともに、それ以上に大腸がんの発見が多くなってきました。これは欧米の傾向と一致します。下に国立がんセンターからのデータを添付します。

2014年の癌統計予測

これには食事内容の変化が大きく関わっていると考えられます。その証拠に上のがんセンター統計のように、肉、牛乳の貿易自由化と轍を一致するように大腸癌、乳がんの増加が日本でみられるようになってきたことです。
女性では顕著ですが、男でもここ数年以内に胃癌と大腸がんが逆転すると予想されています。
皆様の生活の中にも、魚や野菜のこった料理より、肉で簡単に調理する家庭が多いのではないでしょうか。それほどアメリカやオーストラリアからの安い食肉輸入が日本人の食生活に大きな変化をもたらし、癌発症の順位をも変えてきたといえます。
さて皆様が食べた食物は、胃でこなされ、小腸で消化酵素により栄養素に分解吸収され、残りが大腸へ移行して大部分の水分が吸収されて体液のバランスが保たれています。大腸内では肛門に近くなるほどドロドロから糞便の形になってきます。その大腸内では皆様ご存じのビフィジツ菌や複雑で多種類の細菌叢が活躍し、最近の医学ではその生理作用に注目が集まりだしています。欧米の医学界では胃のヘリコバクターより、microbiota(微小細菌性生物とでも訳しますか)マイクロバイオターに関心が集まり、大腸炎症性病変との関係また癌との関係にも至るのかもしれません。

その複雑な機能をもつ大腸は短くすれば1.3m、長くすれば2.5mぐらいになりましょうか。日本人老高齢者には大腸の大変長い方を見受けます。たいがい便秘で来られる方に多いようです。大腸の名称として体の右下に盲腸(ここから虫垂がぶら下がっています)から始まり、上に伸びて(上行結腸)、右の脇腹肝臓の下から左へ、へそのところ胃の下部を横走(横行結腸)して、左の脇腹から曲がって左下へ(下行結腸)、へその左下ちょうど盲腸の反対側にS字状結腸(くねくねに曲がって糞便をためます)そして膀胱の裏側で直腸につながります。そのなりたちは、母上の胎内で右と左の結腸から伸びてきて横行結腸でつながり、したはS字状結腸から直腸へとつながって大腸の完成です。
さて大腸がんに話を戻しましょう。皆様は便に血が混じったといって真っ青になって駆け込んでこられます。実際は真っ赤な鮮血は痔核による出血であることがほとんどで、ポリープや癌性出血はやや黒みを帯びるか少なめに便についてきます。
当院での2013-2017年の5年間を見ても男性対女性ではおおよそ70%対30%で男性が多く、これは大腸ポリープと当然一致します。ただポリープは癌の先立ちの性格からやや若いうちから見られます。
年齢は40代から見られますが、60-70歳代に高率です。平均62.5歳。
症状はまず目で見える血便で、たいがい直腸に近いところに病変を見出します。即刻大腸内視鏡で確認すべきでしょう。しかし大腸の始まりの盲腸部や上行―横行―下行結腸と奥深くなると、症状は普段はほとんどなく便秘ぐらい、そして突然腸閉塞を生じて救急車のご厄介になるという具合です。
つまり盲腸部や右の上行結腸、横行結腸部の癌は血便で見つかることは稀で、むしろ便潜血反応陽性、時には進んだ癌では詰まる寸前の腸閉塞状態で来院なさる方、ほとんど老齢者以降の方に本当に多いのに驚きます。
最近は検診に行かれる方が多くなってきましたが、それでもなお救急でお世話になる人が多いようです。検診で便の潜血反応検査だけでも毎年いかれるべきか、お近くの特に胃腸科専門医に気軽に相談に診察をお受けになるべきです。
また大腸がんを見つけられても、他の結腸にポリープを伴っていることもあり、これも確実に切除しておくべきです。

以下は 当院で私たちが手術を行った大腸癌症例数を提示しています。

  盲腸ー上行 肝曲ー横行 脾曲ー下行 S状中心 直腸 肛門ー直  
例数(%) Ce-As Fl hep-Tr Fl sp-D SD-S-SR RSRa-Rb Rb-P 計病変数
S62-H3 3(11.1) 2(7.4) 0 10(37.0) 11(40.7) 1(3.7) 27
H4-H8 6(15.4) 3(7.7) 0 18(46.2) 11(28.2) 1(2.6) 39
H9-H13 5(13.2) 4(10.5) 2(5.3) 21(55.3) 5(13.2) 1(2.6) 38
H14-H18 7(14.0) 2(4.0) 3(6.0) 20(40.0) 15(30.0) 3(6.0) 50
H19-H23 9(13.4) 6(9.0) 8(11.9) 14(20.9) 27(40.3) 4(6.0) 67

圧倒的にS状結腸と直腸に多くほぼ半数を超す勢いで次いで盲腸部にみられます。
以下に男女別に分けています。先に述べましたが、男に多く若い人は30代後半から88歳まで平均62歳に発症ということがお判りと思います。

年代別 男(%) 女(%) 年次別数 年齢 平均年齢
1987-1991 15(57.7) 11(42.3) 26 40~80 61.4
1992-1996 28(71.8) 11(28.2) 39 37~78 61.5
1997-2001 27(71.1) 11(28.9) 38 46~88 63.3
2002-2006 37(74.9) 13(26.0) 50 45~80 63.3
2007-2011 43(65.2) 23(34.8) 66 42~84 64.6

なおこのデータは当院の手術データからのものです。これ以降2012年3月をもって手術を辞めることとしました。しかしその後も症例診断すれば、近隣の連携病院へ紹介入院させてもらっています。現在のところ、年間50例近い手術症例を送り込んでいます。

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